『「僕は君を利用するけれど,その間だけ。僕は君を保護してあげる」』



そして,さっと襖を開けて出ていってしまった。

私は起き上がって,両手で顔を覆う。

涙が止まらなかった。



「蘭華…っ」



嬉しいのか悲しいのかも分からない。

蘭華は,あまりにも蘭華だった。

涙を流しながら,私は笑う。

無理にでも。

そうしなくてはいけない理由があるから。



「私は,しあわせ」



確認するように,天井を見上げて呟いた。

同じくして,キスの温度が私の唇に消えていった。