…ふふ、そりゃ自炊歴6年ですから。

葵はまだまだ見習いレベルでしょ?きっと。

前までは、言うつもりもなかったけど、
珍しく過去話をしながら、お粥をコトコト
煮込んだ。

…いきなり、こんな重い話して驚かせちゃったかな?

でも、多分…優しい葵のことだから、私の
痛みまで感じてしまっているんだろうな。

お粥を完成させて、葵のところへ運ぶと、
やっぱり葵は目を伏せてやるせなさそうに
していた。

それを見て、申し訳無さと、痛みを
共有してくれる嬉しさが湧いて、
自然と笑っていた。

…ありがとう、私のために傷ついてくれて。

ごめんね、こんな話して。

お粥を食べるように勧めると、葵はしばらく動こうとしなかったが、おもむろにスプーンを取った。

一口食べてから、無言の後、「おいしい」と呟いていて。

でも、おいしいと言った割に、険しい顔を
している葵。

理由は、何となく分かるからいいけどさ。

何で、葵が泣きそうになってるのかなぁ。

どうして、そんなに優しくなれるんだろう。