だって。

私も、愛さんも、気まずくなるのは
避けられないのに。

…でも、そっか。

ちゃんと、私や傷つけられた人の想いを
掬い取ってくれたんだ。

それは…とっても嬉しいことだ。

辛かったけど、もう二度とあんな光景は
見たくないけど。

私も、大人にならなくては。

『…もう、謝らなくていいですよ。

 傷つきましたけど、…怒っていません。

 愛さんは、時雨のために協力していた
 だけなんですよね?

 だったら、尚更、あなたにも、
 前へ進んでほしいと思っています』

確かに、そう簡単には忘れられないけれど


私も、このことで、ずっと苦しむのは
疲れたし、そろそろ止めたい。

笑って言ったら、顔を上げた愛さんの目元
が濡れていて。

愛さんは、ハンカチを取り出して泣きながら、

「ごめんなさい…っ、ありがとう」

と言った。

私は首を振って、愛さんを元通りの席へと
誘導し座ってもらった。