疑いは無事晴れたようだが、和は若干
傷ついた顔をしていた。

そんなん知るか!

実際アンタのことなんか古立組の若頭って
事以外知らないんだからな!

頼人とも、そんな話一度もしたこと
なかったもんね。

本気か…、頼人君は此方の世界を知らない一般人だと思ってたんだけど。

見事に黒だったね!

サプライズの度が過ぎる。

「じゃあ、何で俺のこと知ってんの…?」

意味がわからない、と怪訝な顔をする
和に、私は一瞬躊躇った。

ここで、私の正体を明かすべきか、否か。

…未だ、その時じゃないような気がする
んだよね。

お互い出会ったばかりだし、
今はやめとこうかな。

てことで、平気な顔で嘘をつく。

『私、入学式で式辞読んだって
 言ったでしょ?

 その後に、急な代理になった件に
 ついて、生徒会に聞いたの。

 そしたら、和のことを知って。

 和も友達いなさそうだし、
 気が合いそうだなって』

100%嘘で固められた説明。

ごめんね、いずれ本当のことを
伝えるから。

今は、偽りの真実で許して。