「何で…っ、出会ったばかりの奴が、
 知ったような口を聞くんだよ」

言葉にこそ、棘はあったが、
声は微かに震えていて。

私は、静かに和に歩み寄りながら
考えを巡らせる。

確かに私、未だ何も知らないよ…アンタのこと。

でもね、私は和を救ってみせるって
前々から決めてるの。

ソウ君のために、アンタをこっちへ
引っ張り込んであげる。

だから、私を信じなさい。

『これから教えてよ、アンタのこと。

 私、何があっても離れないから』

「…っ、ばっかじゃないの」

ツンデレの名言だな。

『だめ?』

至近距離、真正面で向き合う。

和は、勝ち誇ったように笑う私を、
困ったように見てきた。

嫌、ではないよね?

だって、本気で嫌だったら、一人じゃないよなんて言われて動揺しないもんね。

数分見つめ合って、折れたのは和。

はあぁ、と盛大な溜息のあと、了承した。

「…わかったよ、俺の負けだ。

 よろしく、…彩羽」

わぉ、名前!意外とフレンドリーなんだね!