『私、アンタの代わりに入学式で
 式辞読まされたんだよね。

 そのせいで目立っちゃってさ。

 本気で一発殴らせてほしいなぁ、とは
 思ってたよ』

「怖ぇーよ、目が笑ってねぇぞ」

あらやだ、失礼。

私のぶっちゃけトークに、和は鳩が豆鉄砲を食ったような反応をしていた。

顔が青いのは気の所為ですよね!

にこにこして言うセリフではないが、
笑っとかないと事実になりかねないので
そうしたまで。

今度は、質問を変えるかな。

『和はさぁ、この世界嫌い?』

すっと、無表情になって尋ねた質問に、
和は、一瞬目を見開いて、それから
辛そうに顔を歪めた。

私は、ずっとこの世界が嫌いだった。

何もかもが信じられずにいた。

裏切られて全てを失ったあの日、
どうしても他人が、自分すらも怖く感じた。

まぁ、今はソウ君もいて、葵や皆もいるから
マシにはなったけど。

今も、傷ついた記憶に苛まれる日がある。

和には、救いはある…ー?

「…嫌いだよ、大っきらいだ」