『……何、それ』

お嬢様って感じだった桜ヵ谷さんは、
嘘みたいに変わっていた。

スカートではなく、ズボンだし、執事寄りの格好だ。

あ、やはたん…何?

とりあえず不味いことが起きたのだけは
分かった。

それ以外さっぱり訳がわからん!

困惑中の私に、桜ヵ谷さんは終始笑顔。

「簡単に説明致しますと、ファンクラブ
 みたいなものです」

スパッととんでもないことを言い出す。

ファンクラブ…っ!?

え、あの漫画とかに出てくるアレ?

美形王子様を皆で見守ったり、近付く女を
威嚇したりする、あのファンクラブ!?

私、男でもなければ、美形王子様でも
ないんですけれども!?

クラブ会員?が女子だけなのが解せない。

いや、男でも困るけど…。

これは、誰に得があるんですか!

誰得なわけ!?

そもそも、私に利益ないと思う…!

ビシッと列を崩さない女子達をチラッと
見る。

『…ちなみに、この花道は…?』