葵は、僕の言葉にピクリと眉を動かした。

そして、その目がゆっくりと此方に向けられる。 

ゴゴゴ、と葵のバックに黒いオーラが垣間見えたが見ないふり。

“あや”の話題を持ち出したことが癪に触ったらしいけど。

クールなのか、短気なのか分かんなさすぎる。

そんな葵を、あやはドロドロに溶かしちゃうくらい天使なんだもんねぇ。

あー、あやに会いたい。

ドルチェに行けば会えるかな?

葵みたいな冷血漢なんてやめて、僕のものになればいいのに。

「…一遍死ね」

あり得ない程の低い声で、ボソッと囁いた葵の目は一ミリも笑っておらず。

目にも留まらぬ速さで、僕にデコピンをお見舞いしてきた。

『…〜〜っ!』

めちゃくちゃに、痛い。

普通、デコ弾いたくらいで悶える威力出ないはずなのに!

渾身の一撃に額を押さえ、プルプル震えた。

……ッ、この!!

言い返そうとした瞬間に、キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴り、授業が始まろうとする。