一期一会。−2−

罪悪感が胸を刺すと同時に、甘えが出てきて。

会えなかった分の寂しさが、今になって湧いてきた。

彩羽は、俺が兄であると気づいていない。

だったら、少しくらい良いんじゃないか。



許されない立場なのに、




…側に、いたい。




葛藤に苛まれながらも、俺は拒絶することができなかった。


ー…神様が、もう一度、やり直すチャンスをくれたんだ。
 

もろくて、儚い少女を、今度こそ守ろうと決めた。

…身勝手で、最低な自分を隠して。



ー「ソウ君!」



名前で呼ばれる度に、『あぁ、自分のことか』とどこか他人事のように感じた。

彩羽は、俺のことをずっと“お兄ちゃん”って呼んでいたから。

でも、それは、隠し事をしている代償でありら罰だ。

髪を染めて、背も高くなっていた俺に、幸い彩羽は気づかないままだった。

喧嘩を教えるたびに伸びていく彩羽を、どうか一番近くで見守りたかった。