「なんで会話できるの…」

置いてけぼりの頼人に、私は肩をすくめた。

あのね、頼人君。

キャッチボールができてないモノは
会話って言わないんだよ。

冷静な私に、ハッとしたのか、途端に
顔を赤らめて、口を押さえだす美少女。

いや、可愛いけど、表情豊かだな。

「申し訳ございません!
 
 私、つい興奮したら英語が出てしまう
 癖がありまして…」

どんな癖なの??

ペコペコ頭を下げて、私は『なんだ』と
安心する。

ネイティブかと思ったわ。

違ったらしい。

我に返ったらしく、気を取り直していて。

「私、桜ヵ谷エミリといいます。
 
 大手アパレル会社の令嬢です。

 以後、お見知りおき下さいませ」

上品に、スカートの端を持ってお辞儀する
桜ヵ谷さん。

お、おぉ…令嬢ってほんとにいるんだ。

通りで、美少女で神々しい。

でも、その令嬢がどうして私と頼人の
ところへ?