ステージの上、心臓バックバク。

生徒達は文句も言わず、見ず知らずの
地味子である私を穴が空くほどに見て
いる。

え、怖いんですけど…。

保護者席に至っては、カメラを愛する
我が子ではなく、ほぼ全てが私に
向かっていて。

いや、自分の子供を取れよ!と
突っ込みたい。

まるでマスコミみたいなんだが?

報道記者会見か!

ヒラッと紙を開いて、読み上げる準備。

あ、これ…手書きだ、キレイな字。

息を吸い込んだ。

『…春めく季節がやってまいりました。

 本日は、日も暖かく、入学式日和
 です。

 私達、総勢三百人は、この日より、
 黄鳥高校に入学し、勉学、部活動、
 芸術活動、様々な分野において
 努力を尽くすことでしょう。

 3年間は瞬く間に過ぎてゆきます。

 一日一年を、無駄にせず、大切に
 過ごしてゆきたい所存です。

 先輩方、先生方、そして私達を
 支えてくださる保護者の方へ。

 これから、どうぞよろしくお願い
 致します

       入学生代表 奥薗彩羽』

無事、噛まずに言い終えて、内心、
歓喜の声を上げる。