情報通な頼人の囁きに泣きたくなる。

そんな情報要らない…。

「早くしてください」

やばっ、マイクの主キレてる。

指導対象は嫌だよぉ…。

今にも死にそうな顔をしてスタンドアップ。

頭は真っ白状態で、前に向かう。

今から私何言うの?何を言えばいいの?

私、こんな大勢の人前で喋ったことがないんだけど大丈夫なのか!?

ー…絶体絶命の大ピンチ!

…今頃あの3人は愉快に笑ってみてるんだろうな。

絶対に保護者席は振り返らないぞ!

あくまでも、毅然とステージの方へ
歩いていく。

生徒達は何故か頬を赤くして、私を見てくる。

ごめんなさいね、古立和じゃなくて。

ステージの近くまで来ると、マイクの主である真面目そうな黒髪美青年が、
スッと私に封筒を手渡した。

何だこれ。

「式辞です」

小声で説明されて、私は目だけで頷く。

なるほど、既に用意されてるってわけね。

用意周到なこと。

中身をカサッと取り出して、ステージに
上がり、教壇の前に立つ。

人の顔がズラッと遠くまで見えた。

ぜ、全部じゃがいもだと思おう!