『…私、“王蝶”なんだよ』
この街の…最強伝説。
まぁ、私は別に一番強いなんて思ってないけど、誰かを守るための力は持ってる。
これでも、近づくなって言える?
『守る必要はない。
だって、私は“最強”だから』
私は、和を救いたいよ。
だから、この手を取って…?
言い終わった後、ヒュルルと風を切る音がした。
そして、パァンと空に花が咲いた。
見紛うことなき、色とりどりの光。
残影が煌めく。
あぁ、…花火だ。
夏祭りのフィナーレを華麗に飾る。
私も和も頼人も、一斉に空を見上げていた。
たーまやー。
瞳に映る景色は、しっかり脳の奥まで刻まれる。
なんて、綺麗なんだろう。
誰かと見る花火は、とっても美しく感じる。
和は、花火を見上げていた目線を私に移す。
「…お前、本当に俺といていいのか?」
再確認なんて、しなくていいのに。
和の目は心配と不安で揺れていた。
だから、私は、自信をもって答えるよ。
安心して、側にいてほしいから。



