一期一会。−2−

『このことは、内緒ね。

 もう、こんなところに来ちゃ駄目だよ』

シーッ、と秘密のポーズ。

茶目っ気のある仕草をしたら、その子は目を丸くした。

そして、泣きそうな顔で私を見ると、少しだけホッとしたように笑って、

「ありがとう」

とお礼を残して去っていった。

いえいえ、こちらこそ巻き込んじゃってごめんね。

ちょっと、イレギュラーだったけど、別に一人くらいいっか。

私、都市伝説らしいし、“王蝶”だって、どうせ分かんないでしょ。

「彩羽…?」

「何、その強さ…」

後ろには、恐らく和と頼人が啞然として立っているに違いない。

私は、ほのかに赤くなった拳をパッと開いて振り返る。

ー…そろそろ、種明かしをしようか。

息が上がりながらも、必死に追いついてきた二人は恐怖と不安を湛えた目で私を見てくる。

…あーぁ、引かれちゃったか。

でも、それも仕方ないことなのかもね。

大体、初見で皆こうなってたし。

…葵は別だったけど。