一期一会。−2−

…ふふっ、こんなに刺激的で楽しい夜はないよね?

男二人とはいえ、“王蝶”の名を持つ私の俊足には、そうそう追いつけないだろう。

特に今、最高速度に近いし。

今夜、私は彼らに一大告白=ネタばらしを行う。

正体を明かすという行為は危険極まりない。

ましてや、マイルールを全て破るなんて自殺行為とも言える。

でも、これは私の意志だよ。

ソウ君からでもなく、私自身が決めたこと。

命懸けで、全てを守り抜くって決めたから。



正体がバレようと、…私は闘う。



私の目的は、たった一つ。

ソウ君を、お兄ちゃんを、見返すこと。

私を捨てて、それでも愛してくれたお兄ちゃんと決着をつけること。

ただ、それだけのために。

私は、“王蝶”の仮面を破り、向こう側へ踏み込む。

呪い、忌み嫌っていた世界だけど…。