「大丈夫?これ、逆に嫌われちゃったんじゃない?だって言っちゃえば騙したってことだし。
こーいう子は耐性ついてないぶんピュアなんだから」
「…犬丸、悪かった」
一条くんの手はよく分からない。
あたまを撫でようとすることには引っ込めるのに、うしろから抱きしめることは実行してしまう。
そして今度はふわっと頬に触れてきた。
カタカタカタと怯えて震える子犬を手懐けるように、一条くんの冷たくもあたたかい手が撫でてくれる。
「ほら怖がってる。もうすぐ総長だからって調子に乗っちゃうからだよねえ~」
「馬鹿、それは言うなっつってたろ」
「あっ、そうだったごめん」
も、もうすぐ総長…?
それって、なんの総長……?
「犬丸、騙すって言ったらアレだけど…これくらいしないとお前と話せそうになかったから」
「い、犬丸は……何者、なの…?」
「ふっ、何者なんだろーな?自分で聞くあたりがおもしれえよな」



