【短】犬丸、今日が最後だってよ。





「…いちじょう、くん…、」


「どした?」


「…ぐるぐる、する、」


「は?もしかして熱?」



余計にぎゅうっと加わって、ぐるぐるはエスカレート。

こういうすれ違いがいちばん厄介だ。


そうじゃない、それしたらもっとぐるぐるチカチカするの犬丸は…っ、



「ばくっ、ばく…っ、」


「いぬまる?ばく…?」


「爆発するぅぅぅぅ…っ!!!」



それを聞くと、少し焦ったようにすぐに一条くんは大きめの声を発した。



「───沙蘭(さらん)、もう犬丸が持たねえわ」



「はーい」と、ドアの前。


今まで呼びかけても返事など返ってこなかったドアの前。

固く施錠されていた鍵がガチャッと外される音。


ガラガラガラガラ───、



「ありゃ?かなり仲良くしてるし。もしかしてお邪魔だった?」


「いや、予定どおり」


「僕は反対を予想してたよ」


「ならお前はハズレってことだな」