【短】犬丸、今日が最後だってよ。





そう言いつつ、ふわっと笑ってくれる。


犬丸、やっぱり今日が最後だったみたい。

一条くんに対して抱いていたイメージも、不良さんに対して持っていた印象も、自分で勝手に作っていた良く分からないランキングも。


そんなのぜんぶ、今日が最後。



「だけど安心して犬丸。お前のことは俺がぜったい守ってやるから」


「……、……うい、」


「くっ、ははっ、だからその返事おもしろすぎんだよ」



犬丸の世界はスローモーションと化する。

なにを言われたの?
どんな顔をされて言われたの?


そんなことを考えていると、すっと伸びてくる手。



「……いや、これはまだ違うか、」



私のあたまを撫でるギリギリで止まって、つぶやかれて、下ろされてしまった。



「いぬまる、」


「いち、じょう、くん…?」



とろっとろですけども……。

声も、表情も、なんか空気感も……。

気を抜いたらだらーって崩れちゃうんじゃないのってくらい、それはもうとろんとろん。