このキョーダイ、じつはワケありでして。





派手な髪色をして、指輪にピアス、ネックレス。

キラキラ輝くたくさんのアクセサリーを付けた兄は、震える声で言って大人たちへ頭を下げた。



『どうやって暮らすというんだ。たとえ君たちの両親が残した遺産があったとしても、家のローンだってあるし…。子育てというのはお金があればいいってものじゃないんだぞ』


『そうよ、成海くんだってまだ19歳なんだから。甘く見すぎよ!』


『…わかってるよそんなの。けど俺には───…、っ!』



大人の手を振り払って、ぎゅうっと抱きついたのは私だった。


どんなに大人たちに反対されようが、それまで深く関わってこなかった兄だろうが、私がその道を選んだ。

唯一の家族と離れたくなかったのは、私も同じ。



『…けいと、』


『にいちゃんのほうに行く…、なるみにいちゃんといっしょに暮らすっ』


『慶音ちゃん、その気持ちはおばさんたちも痛いほど分かっているけどね、あなたたちはまだ大人の助けがないと生きられないの。ひとりぼっちじゃないだけ嬉しいでしょう?』