このキョーダイ、じつはワケありでして。





「わりとサッパリしてるとこ」


「え…?」


「興味ないものには女々しく追わないとこ。でも本当はすっごい寂しがりで、心を開いた人間にしか甘えられないとこ」



やさしくて穏やかな顔をしていた。

私たちの共通点をひとつひとつ口に出す兄の眼差しは、愛情で溢れている。



「それで……お互いがお互いを大好きなとこ、とか?」



じんわり込み上げてきそうになって、震える腕をぎゅうっと回す。



「たくさんあるよ。俺たちが似てるとこなんて」



でもそれはぜんぶ、内面。

外見が似ている部分はひとつも出されなかった。



「てか、包丁つかうから危ないって。手伝わないなら向こう座ってな」


「……だが断る」


「…中身も身長と一緒に大きくなって欲しいよ兄ちゃんは。あ、ちゃんと胴着出して洗濯機入れといた?」


「………兄ちゃん、学校やめたい」



タイミングなんか知らない。

空気をぶち壊すかのごとく、唐突すぎるタイミングで落とした爆弾。