「ただの擦り傷ですよ」
「へいき?ごめん絆創膏とか持ってなくて俺」
「その心配はするくせ、こいつらと戦わせるって意味わかりませんから」
しらーっと視線を外した先に、柄のわるい男たちの屍。
どうせいつもどおりの悪気もない笑いが返ってくるだけだから、もうなんだっていいけど。
「じゃあ、とりあえずこれで応急措置」
そっと肘が上げられたかと思えば、ちゅっと柔らかい感触が傷口にふれた。
きゃああああ~~~!!!と、とたんに騒ぎ出すのは周りの女、女、女。
「……………」
これはただの呆れだ。
言うなればうんざりと嫌悪感の最高点。
こんな男にファーストキスすら奪われている私にとって、こいつは敵の中の敵でしかない。
「よし、今日もがんばって」
「…じゃま、……志摩センパイ、」
ぽんぽんと馴れ馴れしく頭を叩いてくる動きが、ピタリと止まったのは。
私が初めて先輩の名前を正しく呼ぶことができたからだ。



