このキョーダイ、じつはワケありでして。





血なんか繋がってなくったって、顔がぜんぜん似てなくったって、本当の家族でキョーダイだよ。


いいでしょそれで。

本人たちが幸せなら、笑ってるなら、なにが問題あるっていうの。



「…っ、やめ、」



おでこにひとつ。

緊迫感は解れた空気のなか、まるで「ごめんね」と謝ってくるみたいに重なっては離れた懲りなさ。



「…休み時間そろそろ終わるよ」



まだ予鈴すらならないというのに、そいつは先に校内へと戻っていった。


残された私は思う。

切実に、思うというより、願う。


ねえ兄ちゃん………学校やめたい、と。



「っ、…ごめん、よそ見してた、」



教室のドアの前、ちょうど鉢合わせるようにぶつかったクラスメイトは天瀬。

彼もどこか急いでいたようだったが、私の姿を目にするとホッとしたように肩を落とした。