このキョーダイ、じつはワケありでして。





「なんッだよ、この女……!!」


「ちょっとォ!!しっかりしなさいよあんたたち…!!」



とかなんとかやっているあいだにも、残っていた赤髪も床に倒れさせると。

“ちょっとだけ怖いひとたち”を味方につけていたユカリという女もまた、逃げるように走り去ってゆく。



「慶音(けいと)。また新記録更新したんじゃない?」


「…これで今日の役目は終わりました」


「ストップ慶ちゃん」



普通なら止めなかった足も、単純な呼び方ひとつで無理やりにも止められた。

その呼び方を許せるのは唯一として1人だけ。


そしてそれは、あんたじゃない。



「肘、これどーしたの」


「ひじ?」


「ほら、怪我してんでしょ」



ああ、そういえば昨日の部活で少し擦りむいたんだっけ…。


こんなやり取りなど周りを囲う女子生徒も今ではもう慣れたものらしく。

もちろん最初の頃は口をポカーンとさせてヒソヒソ話を立ててはいたけれど、気づけば季節は初夏だと。