「どうって、とくにどうもしませんけど。血が繋がっていようがいまいが、気持ちは変わらないんじゃないですか」
「…そっか。慶音の場合はそんな感じか」
「…なにが言いたいんですか」
「んー、じゃあもし慶音とお兄さんが義理の兄妹だとして……ふたりの関係性が凄まじく不仲だったら?」
よく喋る日だ。
このひとは常にペラペラと広げてはいるけど、こんなにも変わった話をしてくることは初めて。
それに、いつもとは少しちがう真面目な顔だって。
「そういうのって案外、落ち着いて話してみるとどうでも良くなるものですよ」
「…どんな理由があっても?」
「はい。抱えているときは大きく思うかもですけど、いつの間にか柔らかくなるときが必ずきます。…なにかのきっかけさえあれば」
そのきっかけは本当にピンキリ、様々。
私たち兄妹にとっては悲しくて大きくて苦しくて、それが逆にお互いが作っていた溝を埋めてしまったようなものだった。



