「慶音、いけそう?こいつ中学のとき柔道経験者なんだって」


「いーから黙って下がってろください邪魔先輩。まちがえて怪我させても責任とりませんよ」


「ほんと相変わらずイケメンすぎて惚れ惚れするよ。…志摩センパイだけど」



前なんか力士並みにガタイの良い男子生徒を相手にさせといて、よく言う。

それに比べれば今回なんか可愛いものだ。


背丈の差は仕方ないとしても、厄介なのはさすが柔道経験者ともあって戦い慣れしているところ。



「オレの女に手ぇ出したくせ調子乗ってんじゃねえよ…!!」


「ごめんって。でもさあ、彼氏持ちなのに俺に近づいてくるほうが悪くない?」



ほら俺って来る者は拒まない主義だから───と、本人は私の隣で陽気な笑い声をあげていた。



「テメェ…、ぜってえ許さねえっ!!」


「うわ、痛いって。…けーと、」



最初に手を出したのは相手の彼氏らしき男。

つまりこれは立派な正当防衛、だと。