「大丈夫だって。慶音ちゃんには一切の危害も加えないようにするから」


「もうこの時点で加えられてんですよ」


「わあ、座布団1枚あげたい気分」



……帰りたい。

なんだこのムダ時間。



「ほら、女たちから嫌がらせ受けたりってこと。そこは俺も守って───」


「別にそんなのは気にもしてないです」


「え」



アッシュブラウンの髪から覗く、甘いマスクを象徴させる二重ライン。

そんなものをぱちくりさせて見つめてくる。



「その場合は余裕で返り討ちですから。負ける気がしません」



だったらあなたが空手を習えばいい。

自分の身は自分で守れるようになる、簡単なことでしょ。


そもそも自分で蒔いた種を私に収穫させるってどういうこと。


………改めて真面目に考えると腹が立ってきた。



「ふっ、ははっ!決まり、やっぱ俺の目は間違ってなかった。───慶音、」


「うわ、ちょっ…!」