「四宮家はいつだって大歓迎だよ」
俺が慶音を抱きしめても、そっとうしろで見守りながら柔らかく微笑んでいてくれる。
血の繋がっていない妹だと知ったところで、必ず態度を変えない。
あなたはそういう人な気がする。
「…足、震えてる」
「っ、」
でも慶音だけじゃなく、あなたのことも抱きしめたいんだよ俺は。
兄貴だけじゃ埋められない温もりがあるように、兄貴である俺にも妹だけじゃ物足りない温もりってやつがある。
ぐいっと強めに引くと、簡単に体勢を崩しては「きゃっ」と小さな声が上がった。
「や、こういうのは…よくないです、」
「どうしたらいいか分かんないから?」
「っ…」
「…そのまま寄りかかっちゃいな」
ラクになるよ、だいぶ。
たったそれだけでいいんだから、意地なんか張るのはもうやめたらどう?
せめてここだけは彼女の意思で動かせたい俺だった。



