ただ、緒方くん。
俺はまだ君に妹を任せるつもりはないから。
それにどっちかと言うと俺は君より弟派。
「………、」
俺の嘘にまんまと引っかかって、本当に申し訳なさそうに彼女は頭を下げてくる。
それは自信という自信がない女性のもの。
「言ったよ?もう」
試した。
ここで「やめてください」が出たなら、俺はしばらくこのお店には顔を出さないつもりだ。
次回からは妹を連れてしか来れない関係性に戻る覚悟まで。
「こんな取り柄もないおばさんなのに……どうしてそこまで…」
どこがおばさんだよ。
たとえ30になろうが35になろうが40になろうが、内面が美しければ歳を取ることはないんだよ。
俺が見てるのってそんな中身のないものじゃないから。
「一戸建て、車持ち、もう1人か2人であれば養える経済力も持ってる」
「え…?」
「確かにまだまだ手のかかる妹がいるし、俺もちょっとシスコンかもしれない。だとしても妹と大切な人を守る強さくらいは持ってるつもりだし……わりと手先は器用なテクニシャンだよ俺」



