もしかすると私が思っていたより、兄は自分の人生を考えて生きているのかもしれない。

たとえばルルタウンへ買い物に行ったとき、そのたびにクリーニング屋さんに顔を出してたり…?


お姉さんに会いたいがために。

お姉さんと話したいがために。



「おまえのおかげで沙織(さおり)さんに会いに行く口実がまた2つもできた。ありがと慶音」



沙織さんというんだ…。

私の未来の義姉の名前は。


そんな私たちをずっと見つめていた天瀬は、どこか覚悟を決めた顔だった。



「それで慶ちゃん、学校どうする?…あまり距離変わらないとこ、一応候補は見つけてあるけど」


「……なんの話だ。来週からまた朝練始まって大変なのに」


「…そっかそっか。じゃあ帰ろう。どっかで食べてく?」


「やだ兄ちゃんのご飯がいい」


「まあ俺の料理に勝るものはないからね」



これが、四宮兄妹なので。