「四宮 慶音ちゃん」
「…………」
律儀に2回もフルネーム。
そもそもどこで私の名前を知ったの。
疑問を抱えながら眉を寄せると伝わってくれたのか、
「朝に一緒にいた女の子に聞いたんだ」
と、返ってくる。
「かわいい名前してるよね」
「…男っぽいってよく言われますけど」
「たしかに聞こえはね。でも漢字として見ると女の子っぽくて俺は好きよ」
「……どうも」
だからなに。
その話題でいつまでいるつもりなの。
さっさと終わらせたい帰りたいオーラは存分に放出しているはずが、なぜかそいつは怯みもしない。
「俺のことは知ってる?」
「……シマ、さん」
「うん。2年A組の緒方 志摩(おがた しま)です」
だからなに(2回目)。
お互いの名前でどこまで引っ張るつもりだ。



