このキョーダイ、じつはワケありでして。





「あんたが俺の後輩をガッツリ触ってるとこ、俺も見てたよ。なんなら証拠写真もあるけど?」


「そっ、それは……」


「まだ認めない?」


「……っ、」



ちらっと視線を向けてみると、私と同じ高校のブレザーを着ている男子高校生。

こんな朝っぱらから鬱陶しいほどの王子様スマイル。



「ここは俺に任せて、部活いきな」


「え、」


「大事になる可能性がある。俺がどうにかするから、お友達連れて先に行って」



ちょうど駆けつけてきた咲良。

通勤ラッシュということもあってドタバタした末、結局駅員さんを連れて来られなかったと。


先輩と思われる男子高校生と犯罪者を残して、私は咲良と再び電車に乗る。



「志摩先輩に助けてもらっちゃったね…!」



シマセンパイ…?
咲良、あの先輩と知り合いだったの…?

ワケがわからないまま、少しだけ空いた車内に揺られる。