「大人をからかうなよガキが…!俺は急いでるんだっ」
「なら認めましょうよ。朝から女子高生に触ってハスハスしてましたって」
「っ…、」
離した瞬間、こいつは逃げる。
わかっていたからどうにかしてでも掴んでいた私を。
まるで逆手にとるかのように男は反応した。
「だ、だれか聞いてくれ…!!こいつが俺の財布を盗もうとしたくせっ、注意したら痴漢として冤罪にする気だ……!」
「…は…?」
「俺は痴漢なんかやってないのに…っ、こいつが財布をっ、それでわざと動画サイトの笑い者にする気なんだ……っ!!」
デタラメだ、
どこからどう見てもデタラメ。
そんなことを大声で言うものだから、通りすぎる大人や学生たちはとうとう足を止めた。
なかには面白がって逆にスマホを向けてくる傍観者さえも。



