「しーーまーーーっ!!!」



ダダダダダダダッ!!!

今度はとてつもない形相をした女がひとり、走ってくる。



「うわっ、なにあれ~」


「志摩くんってば、また女の子怒らせちゃったの~?」



人気者というのは大変なんだと、つくづく思う。


朝からたくさんの人間に囲まれて、どこへ逃げたって逃げ場のない生活。

そいつが落ち着ける場所はいったいどこなんだろうと本気で心配ではないけれど、気にはなる最近。


今だって笑顔だけじゃなく、みんなに愛想を振り撒く男は、同じように恨みを買ってしまう立場でもあるだろーし。



「そんなに急いでどーしたの。せっかくのかわいい顔が台無しだよ?」


「志摩っ!あたしがいちばんじゃないの!?昨日も他の子とデートしてたって聞いたんだけど…!!」


「え、それ聞きにわざわざ他校から走ってきたの?すごいや」


「関心してる場合か…!!あんなにあたしのこと好きって言ってくれてたじゃない!!」