『お、似合うじゃん。もう中学生のお姉さんだね。慶ちゃん』
『…にいちゃん、これぶかぶか。サイズまちがえてる』
『みんな最初はそうなんだよ。慶音も今はチビだけど、すぐ大きくなるから』
制服、カバン、教科書、ジャージ、上履き。
ぜんぶぜんぶ兄のお金で、兄が稼いでくれたお金で、すべてが新品のもの。
部活だって胴着にウィンドブレーカー、その他の遠征費。
どこに行ったって何をしたってお金がかかるのに、兄は嫌な顔ひとつだって見せなかった。
『……電気代たっか。そっか、エアコン付けっぱだったしな…』
請求書はいつも私に見せないようにしてくれていたけれど、頭を抱えるあなたを私は知っている。
家のローンに光熱費、その他諸々。
そういえば前、喧嘩したとき言われちゃったっけ。
学費に生活費、自分でぜんぶ出してみろ───って。



