『ほら慶音!食べたら早く着替え……おまえなんでそんな修行僧みたいな落ち着き様なの?喧嘩売ってる?ご飯1ミリも減ってないし…、早くしないと咲良ちゃん迎えに来ちゃうだろ。怒るよ兄ちゃんそろそろ』


『…にいちゃん、もう卵かけごはんと即席スープ飽きた』


『……やっぱだめ?朝ってどこもこんなもんじゃない?じつは兄ちゃんも今日寝坊して、って、あーもうインターホン鳴っちゃったよ!!』



私は11歳、兄ちゃんは19歳。


お互いに子供だったから、難しいことは考えられなかったんだ。

両親がいなくなった毎日を生きるに精いっぱいだったんだから当たり前だよ。


でも12歳、13歳、14歳、15歳、どんどん成長していくにつれて兄も大人になる。


そのとき考えられなかった未来というものが、お呼びでなくてもどうしたって顔を出してくるんだ。