このキョーダイ、じつはワケありでして。





「なんで?心当たりが見つかったら今日中に謝りに来い。俺の部屋の前で正座でもして誠意を見せろ」



3秒で私を黙らせて、兄は脱衣場へ向かっていった。

妹にはいろんなことを隠しているのに、妹が隠し事をすることだけは許さない男が四宮 成海だ。


………でも今の顔は冗談抜きでありえないくらい怖かった。



「慶音ちゃん」



ちょっと今のは怖かったよね。

デザートもお菓子もあげなくていいはさすがに厳しすぎるよね。

成海くんも本当は慶音ちゃんのことを誰よりも心配しているんだよ───。


私はね、麻衣子さん。

身勝手だけど、わがままだけど、あなたにはこういう優しさを求めていたんです。



「もう高校生で年頃だもんね。お兄ちゃんと暮らすのなんか本当は嫌でしょ?」


「…え?」


「居づらくない?ほら、この先もっと慶音ちゃんの居場所は無くなると思うから」