まあ半ば強制連行された兄ちゃん的にはそれでぜんぜん良かったみたいなんだけど……。
兄より3歳年上の女性は、麻衣子さんは、私にも優しく笑いかけてくれる素敵な女性だった。
「それ慶音…大丈夫なの?」
「大丈夫って、なにがですか」
「いや…、その人になんかされたりしないかなって」
「なんでですか。あんなにいい人なのに」
27歳にしては若々しく、すこし香水の匂いを効かしていたけど許容範囲。
カールされたロングヘアーはブラウン色。
どこかで恋愛ソングでも歌っていそうな歌姫風な見た目だったけれど、逆に兄ちゃんにはいいのかなとも思う。
兄が自分の幸せを考えている。
ただそれだけでいいの、私は。
今まで妹のお世話ばかりしてきたんだから、やっと普通の24歳らしく生きさせてあげられると。



