驚きを通り越してドン引きとまである。
本当なの……?と、半信半疑に見つめてみると、爽やかにうなずかれた。
「まあ偽名でやってるし、さすがに兄ちゃんとは分からなかったか」
「この1曲で売れたの…?」
「…いや?おまえに言ってないだけで、話せばもっと驚くと思うよ。ちなみに今のとこ2期のOPと映画主題歌も頼まれてるかな」
「ええ……?」
いつから…?
ふたりで暮らすようになってから在宅の仕事に就いてくれて、いつもヘッドフォンをしてパソコンカタカタ。
たまにピアノやギターの音も聞こえてた……けどさ。
難しそうな機材やCDがたくさん揃えられている兄の部屋は、ぜったいに触るな近づくな入るなのルール。
「大学の同級生にそういう知識持ってるやつがいてさ。いつもいろいろ教えてもらってたんだよね兄ちゃん」
1年だけだけど───とか言ってるけど、たった1年の知識でここまで人気になるとか。
それはもうただの才能じゃないか。



