『あれだよ、順位とかどーでもいいよ。自分のチカラをさ、発揮?…それがいちばんだと思うし』
初めて兄ちゃんに重なった。
こんなこと認めたくないけど、兄と同じようなことを言うんだ…と。
もちろん本番では自分のちからを思う存分発揮できたと思っているし、悔いもない。
「お、めずらしいの見てんね」
「…たまたま付けてるだけだよ」
大会が終わり夏休みが明けたものの、3年生や2年生と違って1年生の私はそこまで忙しくない。
本日もさっそくラフな部屋着に着替え、棒つきアイスを口にしながら気ままに見ていたアニメ番組。
とくに何も考えず見ていた私の背後、兄は同じように覗きこんできた。
「あまり面白くないよこれ」
「ははっ、そう言ってやるなって。オープニングはもう流れた?」
「うん」
「どう?いい歌だった?」
アニメ自体は初見としても、主題歌として流れた曲は前々から耳に残っていた。
たまに寄るCDショップによく流れていて、ついさっきもCMで何度か聴いた。



