『学校たのし?』


『うん。空手やってるよ』


『…まじで?俺と一緒じゃん』


『にいちゃんみたいになりたいから』



へえ、俺みたいに?
本気で言ってんの?

じゃあおまえもいずれ30人相手にひとりで突っ込んでいきたいって?


くだらない想像の末、自嘲する。



『……なに』



ぺたぺた、ぺちぺち。

不思議そうに伸ばして、そいつは俺の髪や頬っぺたを確かめるみたいに触ってくる。



『にいちゃん、おばけ?』


『…なんでだよ』


『ほんとに生きてる?』


『死にそうだけど生きてる』


『死んじゃだめだよ』



こいつに俺はどう見えてんだろ。

昔みたいに仲がいいわけじゃないし、どうせ小さな頃の思い出はそこまで覚えてないだろうし。


歳の離れた近所のお兄さん、みたいな感覚なのかな。



『にいちゃん、次いつ帰ってくる?』


『…いつだろ』


『あした?』


『…ではないかな』