母さんも父さんも分け隔てない愛情とやらを平等に与えてくれてはいる。

それが平和すぎるんだよなあ。
今の俺には刺激が足りなくてつまらない。


結果、俺はどーしようもない道を選んでグレた。



『はーー、さすがにつっかれた……』



30対1、あんな集団リンチのなかでよく戦ったよ俺。

無事にマサヤだかシンヤだかは助けることができた深夜2時。


おもむろに2週間ぶりの実家に帰って、玄関に倒れこむ。



『シャワー浴びたい…、あー、そろそろ学校も行かないとなあ…』



退学にならないためにもテストだけは受けにいく。

出席日数よりも学費&テストの結果重視の高校を選んで正解だった。


けど、カラダ動かないや……。



『……カレー…』



ほんのりと香りがする。
今日の夕飯はたぶん、カレーだった。

安全な場所で睡眠を取るために帰宅しただけの俺には、悔しいことにカレーを盗み食いする体力さえ残っていない。