誰が見てもちゃらんぽらんな道へと行ってしまった俺は、未来のことなんかまったくと言っていいほど考えていなかった。
明日は当たり前のように来ると思っていたし、帰れば家があって、家族たちが平和に生きているものだと。
そんな退屈さを発散する方法が、俺にとっては喧嘩だっただけ。
殴って殴られてを純粋に楽しみ、イコールで快楽に似た気持ちを感じるくらいには狂っていた。
『成海くんっ、さっきから電話スゲー鳴ってる!』
『いいよ、どーせ女か家族』
『家族!?それは出なきゃだろ!』
『あとでテキトーに返事しとく』
もう2週間は帰ってない。
大丈夫?ちゃんと食べているの?って、母親からの電話に違いない。
いいかげん放っておいてほしい。
俺なんかに構ってる暇あるなら、ちっこい妹の世話でもしてやればと思う。
なんて毎日を過ごしていたら、あっという間に舎弟のように後ろをついてくる仲間もできて、俺は高校すら適当に通う17歳になっていた。



