「わ、吹き抜けの窓ってほんといいですよね憧れだなー」
「そう?たまに鳥が飛んでくるけどね」
「ええマジですか。それはそれでビビりますよねー」
なに楽しそうに会話してんの。
勘違いしないで欲しいけどわざわざあなたに合わせてあげているんだ、やさしい兄ちゃんが。
「…真幌もいたんだ」
「…………」
リビングに入っていちばん最初。
まさかの天瀬の名前が呼ばれて、彼らは数秒間だけなんとも言えない空気感で目を合わせていた。
“真幌”って…。
学校でそこまで接点がないくせに、名前で呼ぶことってありえる?
天瀬と邪魔先輩が話しているところなんか見たことがない。
もしかしてこのふたりは私が思うより前から知り合いだったとか…?
「すみませんお兄さん、ほんと何から何まで」
「いーえ。こんな賑やかなの久しぶりだし。ねえ慶音」
「……うん」
兄ちゃんに言われたならうなずくしかない。
嫌だけど。
ほんとはすっごい嫌だけどね。



