「天瀬は団体戦にも選ばれたって聞いたよ」


「選ばれたけど補欠な」


「すごいなあ。補欠でも1年生で選ばれちゃうなんて…!」



咲良のキラキラした純粋な眼差しを前にすると、誰だって必ず驚いた反応をする。

まるで自分のことみたいに喜ぶんだ…って。



「いや…すごくはない」



天瀬はやっぱり天瀬。

表情を変えることなく「四宮もそう思うだろ?」と、私に振ってきた。



「補欠にすら入れない先輩もいるから…、すごいと、思う」



学校ではぜったい見せない、その表情。

私の調子を狂わせてくるには十分すぎる。


咲良に誘われたから来たのか、兄ちゃんに会いたくて来たのか。


どちらにせよまさか天瀬 真幌が女子生徒の家に来るとは…。

クラスメイトが聞いたらみんな両目を飛び出させるくらいには驚きそうだ。