「じゃあ慶音、兄ちゃんは2階で仕事してるから。なにかあったらメールね」
「うん」
「お腹空いたらデリバリーでも頼んで3人で食べな。ちょうどお昼近いし、勉強がんばってる高校生たちに俺からの奢り」
「じゃあそのときは兄ちゃんも」
みんなで食べたほうが美味しいし───と目線だけで伝えれば、形のちがう瞳がふわっと伸びた。
それからリビングのテーブルに広げられた夏休みの課題。
初メンバーでどこか落ち着かないなか、私の右隣に咲良、なぜか左隣には天瀬が座った。
3人並んで座るんだ……。
「来週だね、夏の大会。慶音ちゃんも天瀬くんも頑張ってね」
宿題も終盤に差し掛かった頃、咲良が言う。
とうとう来週に迫る、高校に入って初めての大きな大会。
天瀬とはどちらが良い順位を取れるか勝負してたっけ…。



