「慶音、俺おまえにそう呼ばれるのなんか好k───ごふッ…!!」



まさにマニュアル通りの正拳突き。


手加減無用。

むしろさきほど相手にした男たち以上の真剣さでまっすぐ、ね。


咄嗟にうずくまったプレイボーイに対し、今度は女たちからの悲鳴と私に対するブーイング殺到だった。



「……俺さあ…、あんなにルックス命って教えたはずだけど」


「顔面じゃないだけいいと思ってくださいよ」


「ちがう、おまえ今ガッツリ顔面狙ってただろ。避けたんだよ、俺がギリギリで」


「……それじゃ」


「おい待て慶音。……あ、待てはまだ教えてなかったっけ」



これはチャラ男モテ王子(クズ)と言われる先輩と、そのボディーガード(犬)を任された後輩の……


言わば、ドタバタ純愛物語である(大嘘)。