「理沙お嬢様!夕陽がすごくきれいです!」
ベランダに出た執事は、オレンジ色の夕焼けに負けないくらいの笑顔で言ってきた。
「夕陽が出ているときは明日も晴れるということなんです。冬晴れの空が拝めそうですね!」
部屋が寒くなるから早く中に入りなさいよ、碇。
風邪を引いたらどうするの。
「理沙お嬢様、本日の夕食は5つ星シェフが手がけた和食コースです!」
私の元気がないから?
だからあなたが代わりに話して、空気を和らげて、いつの間にか笑顔にさせようとしてくれているんでしょう。
出会った頃からそうだった。
「…理沙お嬢様、申し訳ございません」
とうとうベランダから戻ってきた碇は、静かに窓を閉めてからポツリとこぼした。
ずっとソファーに座ったまま返事をしない私の前、丁寧に頭を下げてくる。
「私が不甲斐ないばかりに…、あなたに恥をかかせてしまいました」
バカじゃないの。
あなたがそれを言って頭を下げてしまったら、認めるということなのよ。
そのほうが私に恥をかかせることに気づきなさいよ。



