もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





「ですが、今あなたに伝えた俺の気持ちはすべて本心です」



どうすればいいっていうの。

碇、私の指示ならなんだとしても聞くのなら、もしここで「離して」って言ったら離してしまうの?


あなたはそのまま離れてしまう?

それでも強引にも離れてほしくない私の気持ちは、わかってくれないの…?



「…って、もう寝ていますね。理沙お嬢様」



気づかれてしまったかと思った。

たまらなくなってぎゅっと唇を噛んでしまったことで、少しだけ動いてしまったから。


それでも腕は離されることなく、余計に背中には緊張が密着したような気がする。



「───…俺が執事をやめればいいのかな…、」



眠れるわけがない。

こんな状況でも難しいというのに、私の髪に顔を埋めた碇からのつぶやき。


ドクンッと、一気に考えたくもない現実が降りかかってくるみたいだった。


なにを、言っているの。

あなたが執事をやめてしまったら、なんにも意味がないじゃない。



「……そうすれば俺は…、」