碇、なにをしているの。
なにを言っているの、この状況はなに……?
「俺は…、あなたが佐野様と家族を作るんだと思うと……嫌でたまらないです」
「っ、」
震えているのに、腕の力は強まるばかりだ。
それ以上に激しく動いて鳴りやまない心臓が伝わってくる。
“俺”、なんて。
執事がぜったいに言ってはいけない言葉を連発してくる碇は、もう今は執事として言っているのではないんだと。
「まえに、裏庭で猫を一緒に触ったとき。俺と理沙お嬢様の子供みたいだって……、本当は俺もそう思っていました」
寝ているのよ、私は。
だから言葉を贈ったって聞こえていないし、意味ないんだから。
なのに続けてくるってことは、私が寝たふりをしていることに気づいてるってこと……?
「…あなたの本当の気持ちを言ってくれませんか、」
「……、」
「俺はお嬢様のお望みのとおりに動きます。なので…俺が聞けるうちに、指示を出してください」
はやく言ってくれ、と。
そうとしか私には聞こえなかった。



