「へ、平気よ…」
どうしてだろう。
前にはなかった緊張があるのに、なぜか安心もするのは。
コツンと、またおでこをくっつけてきた碇。
「…いかり、」
「えっと、これは不可抗力で…!」
「ふふっ、なによそれ」
もう怒る気力もなくなる。
お化けに怖がる姿だったり、寒がって近づいてくる姿だったり。
そんなものばかり見ていると、正しい距離感が分からなくもなって。
お嬢様と執事、
なにが正しい関係なんだろうって。
「理沙お嬢様は…お優しいです」
「…それはあなたにだけね」
「え…、」
……え?
私、いま何を言った……?
「私にだけ、なのですか…?」
「そ、そうよ…!誰にだってこんなことするわけないわっ」
誰とでもこうして一緒に寝るわけじゃないし、ここまで近づかれて許せるわけじゃない。
そう思ったら間違いではないから、私なりに肯定をしてしまった。
「私だから、ですか…?」
「そうって言ってるじゃないっ」
「……お嬢様、」
「っ…、」



